先日にリリースされた Linux Mint 21.3 には Cinnamon 6.0 が搭載されており、このバージョンから Wayland セッションが実験的機能として使えるようになっています。この Cinnamon 6.0 が LMDE 6 にも配信されたので試してみました。
結論
もっと全然に使い物にならないくらいかと思っていたのですが、愛があれば常用できる感じでした。
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ウィンドウプロトコルが「wayland」 |
パフォーマンス
一番に気になっていた X11と Wayland での「艦これ」 on Firefox のパフォーマンスは劣化はなかったものの、大きく改善もないのかな?という感じです。
というのも X11 上での Firefox は drirc で指定した mesa_glthread を起動時に無効化しているとのことでした。これは X11 のバグに対する回避策とのことです。
Wayland ネイティブで動く場合は無効化しないようです。
この違いを確認してみたかったのですが、「艦これ」をプレイしている上ではそれほど差は体感できませんでした。
というわけで、ちょっとだけベンチマークテストを流してみました。
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X11 |
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Wayland |
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X11 |
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Wayland |
よくわかりません。
困ったこと
それでも、Cinnamon on Wayland ではいろいろと困ったことがありました。
・キーボードレイアウトが英語配列に
IME を日本語入力モードにしようと「半角/全角」キーを押したところ、見慣れぬ記号が入力されてビックリしました。パネル上の入力メソッドのアイコンをマウスでクリックすると日本語入力モードに切り替わり、Mozc で日本語入力できるようになりました。
「キーボードレイアウトビューアー」というアプリを初めて使ってみましたが、これを見るとどうやら英語配列になっているようです。
「キーボード」というアプリでキーボード配列を変更できるはずなんですが、Wayland セッションではなぜかアプリのその部分が非表示になっていて日本語配列に戻せませんでした。
・ウィンドウタイトルの文字が太すぎる
太すぎるんです。テーマで調整すれば治るのかもしれませんが、なんか負けた気がして調整していません。アプリによって太くなったり元のままだったりと様々でした。
・スクリーンショット機能がうまく動かない
Alt + PrintScreen キーでアクティブなウィンドウのスクリーンショットを撮影する機能があり、けっこう便利につかっているのですが、これがうまく動いてくれませんでした。
なんでか知りませんが、アプリのウィンドウタイトル部分しか撮影してくれません。
PrintScreen キーのみでデスクトップ全体を撮影できるのですが、こちらは問題なく撮影できていました。
・Synaptic が起動しない
これは Wayland だと動かないという噂を聞いていたので事前に把握していたのですが、やはり Synaptic が起動しませんでした。
代替策がないのが痛いです。(X11 セッションで Cinnamon にログオンし直せばいいんですがね)
・Timeshift が起動しない
これも Synaptic と原因は同じなんですが、アプリ自体が起動しません。Wayland では pkexec が使えないように制限しているかららしいです。
これも代替策がないので痛いです。
・アップデートマネージャー(mintUpdate)がうまく動かない
これも Synaptic と同じ原因です。
アプリは起動するし、アップデートの有無もチェックできるのですが、いざ配信されたアップデートをインストールしようとすると管理者パスワードを聞いてくるところで失敗してしまいます。
これは Terminal から apt コマンドを直接実行すれば大丈夫かと思われます。
・Cinnamon のボタンが反応しなくなる
Synaptic やらのエラーが何かしら発生すると、Cinnamon のメニューは操作できるのですが、メニュー項目をマウスでクリックしても何も反応しなくなってしまいます。
では、Cinnamon を再起動させようと思ってもパネルのマウス操作でも反応しませんし、キーボードでのショートカットキーも反応しません。
こうなるともう Terminal で sudo reboot とか shutdown とかするしかありません。
・その他
スクリーンセーバーが動かなかったり、画面ロックが機能しなかったり、というのもあったかもしれません。
というわけで、個人的にはキーボードレイアウトの不具合が修正されたバージョンの Cinnamon がリリースされればもうちょっと常用に耐えられそう、というのが感想でした。