AMD の Ryzen 5600G という APU を愛用しています。この PC に搭載しているメモリーは DDR4-2666 規格のものでしたが、これを DDR4-3200 規格のものに交換してみました。
APU は専用の GPU がなくても画面表示ができるものです。GPU カードには専用の VRAM というメモリーが搭載されていますが、APU の場合は PC のメインメモリーの一部を VRAM として使用するという特殊性があります。
この特殊性により VRAM 容量を変動させることができるのですが、一般的には専用 VRAM よりもメモリーの動作速度が遅くなります。
PC のメインメモリーの動作速度を上げることで VRAM の動作速度も上がることになります。(が、専用 VRAM に追いつくことはありません・・・)
さて、ワタシの PC には DDR4-2666 という規格のメモリーが 2枚搭載されています。1枚あたりは 8GB なので、合計で 16GB が利用可能です。このうち、2GB を Ryzen APU の VRAM に割り当てているため、OS が利用できるのは 14GB になります。
DRR4-2666 はメモリーの動作クロックが 2666MHz なのですが、Duble Data Rate ということで、実クロックは 1333MHz になります。ですので、APU の VRAM メモリーとしては 1333MHz で稼働しています。
これを DRR4-3200 に置き換えると、実クロックは 1600MHz になります。約 20% の向上です。メモリーの動作が 20% 向上することで実際の操作感はどれくらい向上するのか不明です。
既存のベンチマークスコアを参照すると、スコアが 10% ほど伸びている傾向でした。「10% の変化は体感できる」という知見を最近に得たので試したくなりました。
で、たまたま DRR4-3200 のメモリーをちょっとだけ安く手に入れる機会があったので、買ってしまったというわけです。
こちらはメモリー換装後の Linux Mint 上での確認結果です。1スロット目と 3スロット目に 16GB のメモリーモジュール計 2枚が認識されています。動作速度も 3200 で問題ありません。
$ sudo inxi -mxxx Memory: RAM: total: 23.35 GiB used: 1.9 GiB (8.1%) Array-1: capacity: 128 GiB slots: 4 EC: None max-module-size: 32 GiB note: est. Device-1: DIMM 0 size: 16 GiB speed: 3200 MT/s type: DDR4 detail: synchronous unbuffered (unregistered) bus-width: 64 bits total: 64 bits manufacturer: Micron Technology part-no: 16ATF2G64AZ-3G2J1 serial: Device-2: DIMM 1 size: No Module Installed Device-3: DIMM 0 size: 16 GiB speed: 3200 MT/s type: DDR4 detail: synchronous unbuffered (unregistered) bus-width: 64 bits total: 64 bits manufacturer: Micron Technology part-no: 16ATF2G64AZ-3G2J1 serial: Device-4: DIMM 1 size: No Module Installed
こちらも Linux Mint 上での GPU の動作状況です。MCLK が VRAM の動作クロックで 1600MHz で問題ありません。
Every 1.0s: sudo cat /sys/kernel/debug/dri/0/amdgpu_pm_info | head -n 12 GFX Clocks and Power: 1600 MHz (MCLK) 400 MHz (SCLK) 0 MHz (PSTATE_SCLK) 0 MHz (PSTATE_MCLK) 1074 mV (VDDGFX) 1074 mV (VDDNB) 0.4 W (average GPU) GPU Temperature: 31 C GPU Load: 14 %
では、気になるベンチマーク結果のご紹介です。
まずは MotionMark 1.2 の結果です。
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DRR4-2666 の結果 |
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DRR4-3200 の結果 |
微増です。本当にわずかだけ増加しています。
続いて、Basemark Web 3.0 の結果です。
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DRR4-2666 の結果 |
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DRR4-3200の結果 |
こちらも微増です・・・。
ベンチマーク結果はなんとも微妙な値が出ましたが、問題は体感ですよね。
で、体感なのでだいぶあいまいな感じなのですが、ブラウザーを操作していてシャキシャキ感は出た気がします。Firefox で「艦これ」している時も画面の遷移とかが少しスムーズになった気がします。
というわけで、まとめると以下でしょうか。
・新しく購入するなら 3200 を選んでおけばよい
・既存の置き換えはオススメできない
今回、ワタシは 16GB から 32GB に容量アップもしているため、そちらも狙っての換装であれば良さそうですが、速度だけを狙って同容量での交換はちょっと残念な結果になりそうです。